#8 内と外-世界へ向き始めた矢印 -足立涼 / 写真家
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第8回は、前回に引き続き、写真家の足立涼(あだちりょう)さんをゲストに迎え、ご自身の制作や直近のプロジェクト、書類準備と英語についてなどを伺いました。
——— 写真集はどういったテーマで作られているのですか?
写真集も、先ほどお話ししたコロナ禍以降に意識するようになった「内と外」と「他者と自分」という4つの関係性についての写真集になっていて。
自分の中でもそういうことに目を向けるきっかけみたいなのがあって。東京の方に名古屋から引っ越したり、自分の仕事が変わったり、それで家にいる時間が増えたり、そういった自分自身の生活の変化と社会的な変化の2つの要素の中で、「内と外」っていうことを考えるようになったきっかけがありました。
今回出す写真集が初めての写真集になるので、1度そういった現在の自分自身の状況を一つにまとめたり、自分自身が作品をつくることに向き合うという、大学を出てから向き合おうとしていたことをひとつにまとめるべきだと思って、それをテーマとして選びました。
——— 写真集自体はどれぐらいのボリュームになる予定ですか。
デザイナーとも相談してる最中で、120ページにできたらいいなと考えてて。やっぱりページ数が増えると値段も上がるので、助成金や自分で積み立てていた資金と相談しながら決めていけたらなと思ってるんですけど、120ページいけたらいいなっていうところですね。
——— 集大成にふさわしいボリュームですね。
やっぱり資金的なところがあるので、なかなか融通がききにくいところはあるんですけど、部数を減らしてページ数を増やしたり、紙を変えてページ数を増やす資金を確保したり、そういったところで帳尻を合わせて。どこを最も大事にするかというところで、写真集としての完成度を上げることをまず第1にしよう、とデザイナーと話しています。ここはやっぱり、まず一ついい作品を作ったというtをしっかり実績として作って、その上で部数を少し減らしたりとか、そういったところで帳尻を合わせていった方がいいんじゃないかっていう話になって。今はそういう状況ですね。
——— 写真集を実際に出版するとなると、後戻りできないというか。デジタルだったらあとで編集できますけど、選ぶのもすごく大変そうです。
そうですね。今もほんとについさっきまで写真集のセレクトをずっとやってて、昨日も寝ないでやったりしてて、すごく楽しいのでいいんですけど。デザイナーとのやりとりの中で、だんだん形が出来上がってくるのがすごく楽しいなと思いながら作業してますね。
——— 実際に作業していく中で自分が作る前に思い描いていたものから自然に変わっていったりするものですか?
それはすごくあります。「内と外」「他者と自分」という境界線が曖昧になっていくようなテーマだったので、写真集のレイアウト的に、写真同士が干渉し合うような、1ページの中にたくさんの写真があるようなものになるのかなって考えていました。ですが結果的に、デザイナーと相談していく中で、僕の写真の作品の性質的にも1枚の写真を見せていった方がいいんじゃないかっていう話になって。「内と外」などの作品のコンセプトは、装丁だったり、写真自体を取り巻く物質としての写真集というところで表現していければいいんじゃないかっていう話になって、今は装丁をどうするか相談している最中ですね。なので最初に思い描いていたものとはレイアウト的にはかなり変わって、割と普通に写真を見せていくような流れになってきて、それはそれですごく納得感がありました。当初の予定よりは全然違うものになってきてはいるけど、強度を保ったままそういう形に持っていけたのは良かったかなと思います。
——— 出版は何月の予定ですか?
一応年内ですが、10月以降になるかなと思ってますね。なので8月とかに全体のレイアウトだったりとかを完成させて、9月に印刷に入り、10月以降出版みたいな流れで今は考えている最中ですね。
——— できた写真集はどこで手に入れることができるんでしょうか。
本当に完全に自費出版なので、これからいろんな本屋さんにお願いしていく流れになると思うので。とにかくたくさん増やしていけたらなと思っています。本屋さんで展示させていただいたこととかもあるので、そういったところには連絡できるかなと思っているので、どんどん増やしていけるといいなと。