nest talk

アート公募に実際に採択されたアーティストや公募の主催者を招き、双方の視点から公募を深掘りするポッドキャストです。ここではインタビュー記事とポッドキャストの両方を配信しています。


#4 Van Gogh AiR / オランダ(後編)
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#4 Van Gogh AiR / オランダ(後編)

第4回は前回に引き続き、Van Gogh AiRのお二人にお話を伺います。今回は応募やアーティストに期待していることなど、他の公募にも役立つ実践的な内容を深掘りしていきます。

———日本のアーティストとの交流が始まったのは、何かきっかけがあったんでしょうか?

エヴァ:
実はゴッホの手紙を読んでいて、彼が本当は日本に行きたかったけど行けなかった、という話を見つけたんです。それと同時に、偶然、今ではもう偶然じゃないと思っていますが、レジデンシーに来るアーティストの多くが、すでに日本に行ったことがあったり、日本に行きたいと思っていたりするんです。さらに、日本からの応募も増えてきていて。だから、「これは何かもっと深い繋がりがあるな」って思い始めて…ゴッホが残したわずかな文章以上に、何か必然性がある気がするんです。

ロン:
うん、たしか最初に日本に行ったのは、1年半くらい前だったかな。最初は「ちょっと探索してみよう」くらいの感じで、なにか目的があったわけではなかったんです。でも、たまたま本当に良いタイミングで行ったんだと思います。大使館に行ってみたら、ちょうど日本とオランダの文化をつなぐ新しい方法を探しているところでした。そんな中で、このレジデンス・プログラムはアーティストを送り出したり受け入れたりできる、まさに理想的な手段だったんです。私たちにとっても、それは自然な流れで起こったことでとてもワクワクする展開でした。

エヴァ:
ゴッホ自身が夢見ていた「日本」への想いとも繋がっているし、私たちにとってもすごく意味のあることです。

ロン:
ヨーロッパでのゴッホの足跡は、オランダ、ベルギー、フランス、イギリスなんですが、彼が行けなかった「憧れの日本」も私たちにとっては“ゴッホゆかりの地”の一つになっているんです。そしてちょうどその時期、東京のSOMPO美術館でゴッホ展が開かれて、私たちも招待されたんです。あそこには「黄色いひまわり」のもうひとつのバージョンがありますよね。だから、日本との繋がりはとても自然だったし、今年もまた2つの大きなゴッホ展が日本を巡回する予定があるので、これからもこの繋がりは続いていくと思います。

———今は日本とのコネクションを通じてアーティストを選んでいるとのことでしたが、将来的にまたオープンコール(公募)を行う可能性はありますか?あるいは、アーティストが自発的に参加を希望する方法はあるのでしょうか?(2024年までは2年ごとに2年分の公募を開催していた)

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#3 Van Gogh AiR / オランダ(前編)
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#3 Van Gogh AiR / オランダ(前編)

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第3回は世界で最も有名な画家の一人である、フィンセント・ファン・ゴッホの生家で現在はファン・ゴッホ・ハウス美術館が運営するアーティスト・イン・レジデンス「Van Gogh AiR」を訪ね、館長のロンさんとキュレーターのエヴァさんに Van Gogh AiR についてお話を伺います。そして、Van Gogh AiR からアートパフィンのメンバーの皆さまへ、と貴重なデジタル図録をプレゼントしていただきました。記事の最後にあるリンクから閲覧&ダウンロードができますので是非お楽しみください。

——— まずこのレジデンシー・プログラムについてお話を始める前に、お二人の自己紹介をお願いできますか?

エヴァ:
エヴァ・ヘーネ(Eva Geene)です。Van Gogh Airのアーティスト・イン・レジデンスのキュレーターを務めています。プログラムの立ち上げ当初からこの仕事をしています。私たちはフィンセント・ファン・ゴッホの生誕地にある美術館で活動しています。彼が生まれ、16年間過ごした場所です。このレジデンシー・プログラムは、もう15年近く続いています。美術館では、ゴッホの作品のテーマや彼に影響を受けたアーティストに基づいた展覧会も開催しています。

ロン:
私はロン・デルフェン(Ron Dirven)です。Van Gogh Houseのディレクターであり、エヴァと共にこのレジデンシー・プログラムのキュレーターも務めています。ここでは展覧会を開催しており、常設展としてゴッホの遺産についての展示を行っています。また、現代のアーティストがゴッホから影響を受けた作品も展示しています。そのためにレジデンシー・プログラムを運営しており、アーティスト用のスタジオを2つ設けています。一つはすぐ近くの元教会管理人の家にあり、もう一つは自然の中にある、古いフランドルの納屋にあり、元管理人の家よりさらに大きな建物です。私たちのレジデンスプログラムは、ここだけでなく、他の場所で展示を行うこともあります。

——— このプログラムの目的について、もう少し詳しく説明していただけますか?

エヴァ:
はい。フィンセント・ファン・ゴッホはこのズンデルトという場所で生まれ、重要な時間をここで過ごしました。彼はこの地での思い出を良く覚えていて、たくさん歩き回り、兄弟姉妹たちと楽しい時間を過ごしていました。
生家そのものはもう残っていませんが、その精神は今もここに息づいています。
私たちがこのプログラムで目指しているのは、ゴッホが今もある意味「生きている」ということを示すことです。彼のインスピレーションや創作への姿勢は、他の人々を通して今も生き続けているんです。

ロン:
そうですね、もちろんゴッホは歴史的な人物で、19世紀の人間です。でもある意味、彼はいまなお「現代的」だと思います。多くの人々にとって、今でも心を惹かれる存在です。このレジデンシー・プログラムを通して、私たちはゴッホを現代の世代、特に若い世代やこれからの新しい世代と結びつけたいと考えています。それが、ゴッホの遺産を今も意味あるものとして保ち続ける良い方法だと思っています。
さらに、彼はとても多くの手紙を残してくれたので、彼の気持ちや若い頃の生活についてもよく知ることができます。そのようなゴッホの個人的な側面や生きた風景を、アーティストたちがこの土地とつながることで体感し、表現していくことが大切だと考えています。

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#2 cobird / 現代美術家(後編)
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#2 cobird / 現代美術家(後編)

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———artPuffin

第二回は前回に引き続き、cobirdさんをお迎えし、cobirdさんのアートプラクティスに焦点を当てて、いろいろとお話を伺っていきます。cobirdさん後編もどうぞよろしくお願いいたします。


cobird:よろしくお願いします。

———まずはcobirdさんがどのように制作と向き合っているのかお伺いしたいのですが。

サラリーマンでデザインの業務に携わってきたのが長かったってご説明をしたとは思うんですけども、当初そのサラリーマンを辞めたっていう部分もあって反発的というか、反対に自己探求とか純粋な表現とは何かみたいなものを考えてた時期は最初の方に本当にありましたけど、やり続けてみれば

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#1 cobird / 現代美術家(前編)
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#1 cobird / 現代美術家(前編)

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——— artPuffin

記念すべき第1回のゲストは、現代美術家のcobirdさんです。

cobirdさんは、もともとアパレルデザイナーとして約10年活動された後、現代美術の世界へ転向されました。以降、国内外のレジデンスプログラムに参加し、数々の個展を開催されています。

大学でデザインを学んだ後、アパレルメーカーにてデザイン業務に従事しながら、生地や編み物の基礎を習得されました。繊維の織に精通するほか、90年代のストリートカルチャーに強く影響を受け、特にヒップホップやラップのサンプリング技法に魅了されます。

インターネットなどから引用したビジュルを印刷した紙や、既存にある日常的な素材を縦横の短冊状にカッターで切り刻み、手作業で織物の組織のように一本ずつ交互に差し込むことで形成したコラージュ作品を主に発表しています。

これまで多くの国内外の展覧会、アーティストインレジデンスに参加し、音楽や映画分野への作品提供など多岐にわたってご活躍されています。cobirdさん、本日はよろしくお願いいたします。

cobird:よろしくお願いします、こちらこそ。

———では改めてcobirdさんのアートプラクテスについてお伺いしたいんですが

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